きらめくものたち/由比良 倖
 
、インドに行きたいとか、沖縄に行きたいとか思っている。
私が旅をするのではなく、多分、旅先の風景と、私という点が、
一瞬交差するだけなので、そこから帰宅した私は、さらに波に近くなる。
そして「私らしさ」はもろく破れて、望み通りに私は拡散し、流れていけるだろう。

生活……、生活がおぼろげになれば、どんなにいいだろう。
食べて、眠る、眠る、眠る、ギターを弾いて、ピアノを叩いて、眠る、眠り続ける。
歌う、……そして書く、、、キーボードを叩いて、叩いて、眠るように、、、
そして心から、一点の曇りもない朝の海のように、目覚めていて。

……

私は生き残った。時計を見ると3時だ。夜中。
ヘッドホンを付けている。ニック・ドレイクと、最近は青葉市子さんが好きだ。
私はまだまだ起きている。

全てが溶け合っていきますよう、と私は私に向かって、呟いて。
溶け合った先には、幸せしかあり得ないのだと。
そのことを、私はとてもよく知っている気がする。

……

真夜中、の海でひと粒だけ光る、量子や、甘い、波のように。
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