第49回城戸賞二次選考通過作品シナリオ【銀木犀の樹の上で】改編稿?/平瀬たかのり
なに強ぇ
かい」
江戸っ子役「ああ、強ぇね。あんな強ぇ
のは見たことねぇやい。戦国の世に生
まれてたら侍大将間違いなしだったろ
うねぇ」
石松(雅之)「そうかい、そうかい。呑
みねぇ呑みねぇ。寿司食いねえ。よく
分かってるねえさすが江戸っ子、」
江戸っ子役「神田の生まれよ。ただなあ」
石松(雅之)「ただ、なんだい」
江戸っ子役「この石松ってのは人間が馬
鹿にできてる」
石松(雅之)「――馬鹿」
江戸っ子役「ああ。馬鹿も馬鹿、大馬鹿
よ。例え火の中水の中って云うけどよ、
こいつは次郎長親分に言われりゃ、本
当に火の中でも水の中でも『へい、親
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