第49回城戸賞二次選考通過作品シナリオ【銀木犀の樹の上で】改編稿?/平瀬たかのり
ろ」
笑う美花の横顔をじっと
見る教平。
美花「高野くん憧れの黒沢先輩
は、思っている以上にアホな
んよ」
教平「先輩」
美花「自棄になってたんやなあ。
もうどうにでもなれって。
『俺、つけんとしたことない
ねん、ええか』って訊かれて
『大丈夫な日やからええよ』っ
て。全然大丈夫な日やなかっ
たんやけどな――ごめんな、
こんな話しして。ハレの日や
のにな」
教平「いえ」
美花「けどな、幸恵産んだこと
は後悔してへんのや」
教平「はい」
美花「高野くん、文学勉強する
んやろ」
教平「はい」
美花「頑張ってな。学生の本分
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