第49回城戸賞二次選考通過作品シナリオ【銀木犀の樹の上で】改編稿?/平瀬たかのり
 
 飯食うときだけ部屋から
 出てきよるわ」
教平「そうですか。よろし
 くお伝えください」
敬造「ああ――ボクよ」
教平「はい?」
敬造「ただの肥えた子、な
 んか言うて悪かったな」
教平「いえ。ただの肥えた
 子でしたから」
   微笑みながら洗い物
   を続ける淑乃。

〇八幡神社・境内
   祭りの日、奉納相撲の
   最中。土俵上、教平と
   直人の一番。
   がっぷり四つの両者。
   土俵中央で動かない二
   人に拍手が湧く。やが
   て土俵際まで直人を押
   込む教平。懸命にがぶ
   り寄る。身を仰け反ら
   せ怺える直人
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