第49回城戸賞二次選考通過作品シナリオ【銀木犀の樹の上で】改編稿?/平瀬たかのり
久保「ん?――あぁ、あのデ
ブか」
美花「久保君、あんた一か月
くらい前にアサリに当たっ
て、郡民病院に救急車で運ば
れたやろ」
久保「おまえ、なんでそんなこ
と」
美花「大騒ぎやったって聞いた
で。『お母さん、母さん、お
腹痛い、痛いぃ!』いうて」
久保「……そんなこと、あるか。
なにをデタラメ言うとるんや」
美花「知ってるんよ。おっきい
お姉ちゃん、あそこの看護婦
してるから。最初にあんたの
手当したの佳代姉ちゃんなん
よ」
久保「……」
美花「『カラの大きな子がお母
さん、お母さん、言うて泣き
わめいてかわいらしかった
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