第49回城戸賞二次選考通過作品シナリオ【銀木犀の樹の上で】改編稿?/平瀬たかのり
 
造「ええか、よう聞け玄の字。
 駒形茂兵衛はな、破門された
 親方のところへもう一回弟子
 入りしようと心に決めて、駒
 形村から出てきた取的やぞ。
 腹へってやつれはてても、再
 出発を誓った志のある青年や。
 横綱になって、母親の墓前で
 土俵入りの晴れ姿を見せたい
 いう夢持った青年や。その青
 年が酌婦のお蔦と出会う。茂
 兵衛の志に打たれたお蔦が唄
 う小原節、それは茂兵衛の若
 さあってこそ観る者の胸を打
 つんじゃ。それこそが芝居の
 リアリティーじゃ。分かった
 か!」
玄次「カバチたれなぁっ!」
敬造「なにがカバチじゃっ。は
 はぁん、分かっ
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