第49回城戸賞二次選考通過作品シナリオ【銀木犀の樹の上で】改編稿?/平瀬たかのり
 
なったら学校で
 も公演打てるやろ、言うて。
 そやから去年の文化祭、講
 堂で公演したんやで」
健介「演目は『瞼の母』。市
 民文化祭の方は『國定忠治』。
 ちなみに両方とも主役は俺」  
蘭子「先輩が主役」
   頷く健介。壁に立てか
   けてあった模造刀を手
   に取り、前に突き出し
   グッと見栄を切る。注
   目が集まる。
健介「『赤城の山も今宵を限
 り、生まれ故郷の國定の村
 や、縄張りを捨て国を捨て、
 可愛い子分の手めえ達とも、
 別れ別れになる首途だ』」
   座員たちからの喝采。
   蘭子を見てニッと笑う
   健介。驚いてい
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