日記(オカルト)/岡部淳太郎
 
こうして日々
人から離れて一人で暮らしていると
自らの存在が希薄になって
空気のなかに溶けてしまいそうに思えてくる
きっと僕は 世界から隠されてある

隠されたもの
それをオカルトと呼ぶ
幽霊や妖怪や異星人や超古代文明
魔術や予言や超能力の類のことだ
それらは世の常識から隠されてある
だからオカルトなのだ

僕もきっと 存在が科学では証明されていない
僕は繰り返す実験では証されえない
だから僕も 幽霊や妖怪や異星人
異次元人や未来人の類と同じだ
なにせ僕は 人々から離れて
その視線から隠されたところにしか存在しないからだ

人は隠されたものを恐れる
夜の闇
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