日記(オカルト)/岡部淳太郎
こうして日々
人から離れて一人で暮らしていると
自らの存在が希薄になって
空気のなかに溶けてしまいそうに思えてくる
きっと僕は 世界から隠されてある
隠されたもの
それをオカルトと呼ぶ
幽霊や妖怪や異星人や超古代文明
魔術や予言や超能力の類のことだ
それらは世の常識から隠されてある
だからオカルトなのだ
僕もきっと 存在が科学では証明されていない
僕は繰り返す実験では証されえない
だから僕も 幽霊や妖怪や異星人
異次元人や未来人の類と同じだ
なにせ僕は 人々から離れて
その視線から隠されたところにしか存在しないからだ
人は隠されたものを恐れる
夜の闇
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)