見つめる声/ただのみきや
 
とばをまとわずに
世界の夢の中を行きめぐる
影法師なら
その無邪気な戯れ
見えない衝角こそ
上塗りを必要としない
哀しい産声だと

ああ紙のようにめくられ続け
うすく 濃く
ひややかな焦げ痕になって

家々の庭先に咲き誇る
花たちをすり抜けて
掠める蜂の羽音のよう
遠くなり
めまいに変わる
幽霊たち
座標なき痛点の膨らみよ


                   (2024年7月14日)







戻る   Point(6)