ロックre仮/竜門勇気
 

押しつぶしているバネ
七月
二十四年間のゆっくりとした沈黙

災害に焼けた記憶の中の顔
誰かのにやけた顔に降る雪
消えていった人たち
新しくてひどく冷たい雪

ロックを聴いていた日
七月
窓の外で死者が運び出されていく

誰かの知り合いで
誰かの子供だった
誰かの親で
ぼくの外側の葬列が弔う

押しつぶすバネ
行き交う空気
背比べする植物
同じ土から生えたくせに
零れ落ちた時間が少し違うだけのくせに

押しつぶしてバネ
振れる針を抱え込んで
割れて床に落ちた樹脂のかけら
きみは誰の子供だ?
誰を殺すために生まれてきたんだ?
七月
歪ん
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