骨/夏井椋也
 

逃げ出したくて
吐いた嘘を
骨は知らない

抗いたくて
千切った縁を
骨は知らない

痛んで
悦んで
肉がくたびれていくのを

誤魔化して
宥めすかして
心がたるんでいくのを

骨は知らない

何も

知らないから
骨だけが
最後まで美しい


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