Sweet Thing。/田中宏輔
ツ姿であった。その男のスラックスの股間部分は、まるで陰茎が硬く勃起しているかのように思わせる盛り上がり方をしていた。男の膝から下は、ソファーの端からはみ出していて、脚が膝のところで、くの字型に折れ曲がっていた。顔を覗き込んだが、ぼくのタイプではなかった。カマキリを太らせたような顔だった。緑色の顔をしていた。ぼくは、ポリバケツのゴミ箱とソファーに対して正三角形を形成するような位置に立って、最後部の座席の後ろから一階席すべてを眺め渡した。この空間自体を、「ハコ」と呼び、「ハコ」のなかで、性的な交渉をすることを「ハコ遊び」と称する連中もいる。「発展場」を英語で、cruising spotsというが、ho
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