Sweet Thing。/田中宏輔
 
ゲイ・ポエムズ』に収録していた、中国人青年が出てくる「陽の埋葬」の一作に脱字が一か所あったことも悔いていた。いつか、新しく出す詩集に完全版を収録したいと書いていた。しかし、その願いも果たされなかったのだった。つぎに、その「陽の埋葬」の完全版を書き留めて、本稿を書き終えることにしよう。この論考で、詩人の果されなかった二つの願いが果たされたことになる。二つの詩の完全版を収録したことは、筆者には、ひじょうに意味のあることであると思われる。




陽の埋葬


 高校の嘱託講師から予備校の非常勤講師になってしばらくすると、下鴨から北山に引っ越した。家賃が五万七千円から二万六千円になった。
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