The Show Must Go On。/田中宏輔
ていた愛撫でも。
死に意味があるとしたら、それは生に意味があるときだけだ。
死によって、その生に意味が与えられることもある。
目に見えるもの、耳に聞こえるもの、手に触れることのできるもの、こころに感じられるもの、頭で考えられるもの、そういったものだけで世界ができているとしたら、それはとても貧しいものなのではないか? もしもそうなら、世界はいまあるものとまったく異なるもの、貧しいものとなるに違いない。じっさいは豊かである。思考できる対象しか存在しているわけではないということ、言葉にできないものがあるということ。そういったものがあるということが、わたしたちの思考を豊かに
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