The Show Must Go On。/田中宏輔
 
 ノサックの『ルキウス・エウリヌスの遺書』のなかに、「裏切りに基づく生は生とはいえない。」(圓子修平訳)といった言葉があるが、リルケの『東洋風のきぬぎぬの歌』には、「私たちの魂は裏切りによって生きている。」(高安国世訳)という言葉がある。どちらの言葉も、ぼくには、しっくりとくる、よくわかる言葉だ。ふたりの言葉の間に、なにも矛盾はない。われわれは、「生とはいえない生」を生きているのだ。生かされているといってもよい。


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