閃篇5 そのろく/佐々宝砂
 
がいなかった。逃げたんだなと思った。空襲の街角にはいたくないもんな。次は駄菓子屋のジオラマを作るから戻っておいで。


3.日常

6時半にアラームが鳴る。あくびしながら顔を洗って階下に降りる。洗濯機を回す。燃えるゴミの日だからゴミを集めておく。畑で茄子を採ってごま油で焼いて焼き茄子の味噌汁を作る。納豆に混ぜる用の青ネギを切る。こどもと夫と父が起きてきて食卓に座る。いつもの平和な日常の食卓に。私のなかで何かが爆発する。私はダイニングテーブルをひっくり返し、台所にあるあらゆる刃物を投げる。私の鬱屈を何一つ察しないまま私が作った飯を食べる愚かものども。


4.こどものころは


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