死んでも旬でいるために/菊西 夕座
 
死んでも旬でいるために
生はどんよくに波をかく
波うつことで脈ありと
信じていけるその日まで
脈動はきざまれた
きざまれてわかたれた
脈動はわかたれた
わかたれてきざまれた
わたしとあなたにわかたれた
脈動はふるわせた
わかたれた同胞を
脈動がなみうった
振動がつたわった
わたしとあなたがつながった
共鳴がなみうった
波間にうかぶ椿かと
みまがう春の紅ざかな
歌っているのは雷鳴か
共振がのびていく
しんでどうする
振動する
死んでどうなる
しゅんとなる
つぎのふるえで
旬となる
そらの光が波をうつ
しずむ魚がうきあがる
わかれた枝にも花がさく
[次のページ]
戻る   Point(6)