詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その3。+あとがき/たま
のかというといいともいえない。わたしの一生が詩であるとしたら、一つ困った問題が生じるのだ。
詩は発見であるともいう。
発見がないと詩は書けないという意味だが、たしかに詩が生まれる背景にはさまざまな発見がある。では、小説を書く場合はどうだろうか。発見がなくても小説は書けるような気がするし、小説は発見だ、とはいわない。しかし、実際に小説を書いてみると小説にも発見があることがわかる。小説は書き終えたあとに発見があるのだ。それは作者が予期しなかった結末というか、書き終わらないと見えてこないもの、たとえば、物語の隠れた主題であるとか、主人公がだれであったのかとか。作者自身も気付かずに書かされていた、
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