なるほどクン/アラガイs
秀才という彼は字義通りに成績もよかった。
しかもお馬鹿な僕たちから見れば身なりもキチンとして、大人媚て立派に見えるから余計に鼻につく。
そして何を聞いても応えても(なるほど、なるほど)と頷くばかりの発言は、まったく小馬鹿にされてるようであたまにきてしまう。
あるとき僕たち不良少年の三人で彼を体育館の脇に呼び出してやった。
「おい!おまえ、なんでいつもなるほどなんだよ?」
彼は眼鏡の底に困惑の表情を浮かべ、「なるほどなるほど…」とまたしきりに同じことをくり返し言おうとしていた。
「この野郎!」ついに脈の切れた反町が彼の襟首を掴んで一発頬を殴りつけた。
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