眩/ただのみきや
 
眼いっぱい
ふるえる木洩れ日
ちいさな朱い鰭
息の仕方を忘れた朝に

滲む菖蒲
色香の移った骨抱いて
 影は濃く
  跪拝する
落涙に 蟻のもだえ
狂える記号たち

傷みの価値を口にするな
つまらぬ意味を模索するな
あばらに絡んだ古い布切れを
風は咥えてはなさなかった
ああ叢に隠れている
汗ばむ仔の匂い

死者をことばのように弄る手
過去へ夜へと興を灯しながら

小手毬に雀蜂
光散り影したたって
舌にふれた幻の
指先に
 こめられた盲信
         愛

雨あまく 
飲み干して
ほどく帯
跳ねる音
よどみなく
来ては去り

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