10年前のヒドラ/水町綜助
 
日の特別なニュースと等しく


いわゆるカタルシスと記憶
それを形にしたいのなら
残ったがらくたについてを語ることもせず
ひとり磨き開けばいい

ある晴れすぎた日の昼に

豊かで美しい黄金色の営みの中で

秋、波打つ見渡す限りに焼きつく深い青さの中に
浮かぶ白い文字列
そこに描かれた10年前のヒドラ
水に流れていく雲のように
吹き流れては青さを薄めていく

これが空色って言うんだね
それであってるよね
10年前のヒドラ

過ぎていってしまったその思い出のために



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