詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
ズンオフの。人気のない海水浴場の。トイレのとなりの。倉庫のなかの。うす暗い三人は。どう見ても海水浴場の留守番をしているようなものだ。
たったふた月のアルバイトのつもりが、まるで海水浴場に就職したみたいなことになって。そうなると来年も再来年も、ゴミ拾いと、トイレ掃除がつづくことになって。それはそれで、わるくはないけれど、いつまでつづくことになるのかが気になるのだった。
ここには定年がなかったからだ。
「休むのはええけど、辞めたらあかんで……。」
上田さんはいつもそういうのだった。
航路
海は
海でしかなく
ひとは
ひとでしかないはずなのに
定期船に乗って
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