Sat In Your Lap。II/田中宏輔
の名残りがそこにみとめられるように思える、青銅(けつ)の眼(あな)の毛のなかに口と下で没頭しているときに、私が見出す幻影とも、それは同じ素材でできている。
(生田耕作訳)
ここのところと、つぎに引用する、デュラスの『北の愛人』のなかにある、
少女は男をじっと見つめる、そしてはじめて彼女は発見するのである、──これまでいつも自分とこの男とのあいだには孤独が介在していた、この孤独、中国風の孤独こそが、この自分を捉えていた、その孤独はあの中国人のまわりにひろがる、あのひとの領土のようなものだったのだ、と。そして、また同様に、その孤独こそが、自分たちふたりの身体、ふたりの愛の場であ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)