レモン/鳥星
俺は光を手に入れた
全ての言葉が自分に向けられたナイフのように感じるとき
街燈の口から肛門までは広い路地裏で
背中を刺された水溜まりがうつ伏せになっている
太陽と月が手を繋いで流れる日々
白いベッドの上で心臓と心臓が絡み合う日々
魚の腹に沿って取り出された大きな後悔よ
石の中で産まれた蝶々が今か今かと抜け出そうとしている
ピカソの画集から破った紙で
答えを包んでやろう
冷蔵庫の中にしまっておこう
洗面所で髭を剃ったあとに見る自分の顔の中にも
答えが渦巻いていたのだ
胴体の中の首の中の頭部を包帯で優しく巻いてやろう
浴室の悲しみを洗い落とすために
濡れた犬の匂いを撒き散らしてやろう
眠りながら刃の上を歩く
死んだ僕らは目を覚まそう
穏やかな観葉植物が溜め息がちに呟いた
君は本当に優しいから
人のことを考えてしまうから
難しいかもしれないけれど
自分の人生を大切にしてください
自分の人生を大切にしてください
古びて見えた蛇口の上を伝う反射光の中にも
そう書かれてあった
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