虹は出そうにないけど/そらの珊瑚
 
食べたもので人の身体は出来ています。
そんなことはいちいち考えずに
その日の風まかせで
献立を決めてきた

心は何で出来ているんだろう

手元が狂うのは永遠の一瞬
包丁の刃で切り落とした
爪のかけらは
さかなのえらになって
ゴボウの舞う梅雨待ち空を泳いでいった

さようなら
らなうよさ

天使がわたしのために作ってくれた
お粥の美味しさが臓腑によみがえる
そして少しまともになる

難を逃れた親指と共に
架空の日々を生きていく
明日も狂わずに食べていくために
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