Another Ideology/
 

「皆の幸せのためなら、僕はどうなってもいい」
             ――丸喜拓人『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』


痛みが穿つ伽藍の中心で、黄金の螺旋を重ねる術語があり
折り畳まれる祈りがある
秒砂であることをやめた雪はただ、白夜の底を明るくするためだけに降る
その重みに優しく撓んだ長針が文字盤の上で動かなくなった短針に追い付くまでの間だけ
開け放たれた高度をゆっくりと下降する雪は真っ白な羽毛に変わり
痛みのない世界を祝福する
その世界が永遠であるためなら、僕は世界から永遠に忘れ去られたっていい
傷口の上に何重にも重ねた包帯の白を、誰もが永遠に光に見違える世界
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