万華鏡 2023/10/26/星染
 
どうしても届かない距離にあるような、
手を伸ばしても触れないものでできているような、
時代と名前をつけられて、それでもそこに今あるようなものを、
わたしたちはこういう時だけ呼び起こして、
砂時計やスノードームに似たそれをひっくり返して、戻して、
ひらひら落ちるのを眺めている
久しぶりに、起こしてしまってごめんね。具合は? ちゃんと食べてる?
返事のない置物に、声をかけるのは、病室の出来事のようで。

鏡で仕切られた光の中で、
触れたことがないから温度もわからないの、と、
寂しそうにしている女の子のことを、わたしたちは知っている
正しくそこにいて、
お誕生日というのは、

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