悲しみのミイ/秋葉竹
からも相手にされない展開を
ちゃんと知っているミイは
だからクラウンにはなれないんだ
だれも知らない夜深くの海で
美しい人魚の歌声を聴くことができる
ミイはだれよりも世界を愛しているみたい
愛に永遠はないだなんて知ったかぶりの
物語の中のセリフみたいな安っぽい
言葉をミイが吐くことは無い
愛情の片隅の暗がりにいつもいるから
いつも噛みきれない針金を
噛みつづけているからだれも近づかない
夜は
限りなく冷えるから
ミイの氷像が
とけることはないわたしはといえば
悲しみのミイの氷像を
眺めみあげているだけだ
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