(n((o),(w)),)(h)ere)詩人はきっといつか詩を書けなくなる/竜門勇気
 
で据えられたスピーカーから
昔のヒットソングのメロディが流れる。
目を覚ました猫が寝ぼけながら僕の顔を見た。
瞼に手のひらをそっとあてて撫でた。少し前から黒目がちになった眼を閉じて
うるるるる、と鳴いた。
この2、3日前からよく声を聞かせてくれるようになった。
闘病が始まって、あまりなかなくなっていたので、もしかして、と思っていた。
「生命力が強い子ですから、まだ、可能性はあります。いいこだね。」
家でする注射も、点滴も迷惑そうな顔をしていたけれど、いやがらなかった。
いつもは19時ぐらいに起きるのだけど18時半頃、猫が起きたのが分かった。
ベッドから降りてぼくがいつも座ってい
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