迷宮の蜂/ただのみきや
霧のなかで羽ばたく
ふるえる声
光の底に沈んだ
夜の鱗揺らして
一枚のガラスのよう
結露した
時間
鏡にしかなれない
いつも裏返ったわたしたちの
化石のような孤独 甘い菓子
緑は燃え
真昼までささやいた
蜘蛛の巣をたわませる
奇跡の重さ
空気の宝石
掌で散って
残らない
蝶のように
糸は溶ける
縫う針の痛みの記憶だけが
去る夢の
気流に触れて
赤く見開いて
天を凝視する
花
覗くわたしを覗く
花
わたしを貪る花よ
太陽を支え
宇宙の真中に在る
花 いま
いつくしむべき輪郭を失
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