石の階段(改訂)/ひだかたけし
 
取り消され
ては、
取り戻し
ては、
取り消され

異様な現 現の異様
絶えず死を前にし
終止符打つ瞬間にも
絶えず律動し続け

 階段を昇る
 宙空に浮き
 枯れ草散らばる
 石の階段 を 昇る

  空の冷ややか蒼く
   燃え盛る大地の次第荒涼と
  若人輝く顔の老人へと枯れ果て

 階段を昇る
 それでも昇る
 枯れ草踏み締め
 昇る 石の階段 を

新緑の深まる林の群れ曇天に揺れ
河の水の流れ河口に至り渦巻き
雪に覆われた街並み白銀に突出し
千切れた熱波の断片海鳴りの繋がり
黄金に輝く銀杏並木に艶々と囲まれ
純白の雪道が伸びる伸びる何処迄も
新緑の色褪せ落葉の群れ曇天に舞い

  * 

現れ 
ては、
取り消され 
ては、
現れ

異様な現 現の異様
絶えず生を前にし
終止符打つ瞬間にも
絶えず律動し続け

逝く瞬間、逝きて門をくぐり新生する、

 枯れ草散らばる石の階段に

破られる次元の壁 此処で此の世で


戻る   Point(4)