無題/朧月夜
コーヒーを飲み、
わたしは死んだよ。
死んだのだから、そっとしておいて。
何を話しかけるんだ、
何を!
あなたはわたしの何すらわかっていないというのに。
わたしはわたしの何すらわかっていないというのに。
……時がながれていくね?
そのなかで、わたしは何を、あなたは(もしくは、あなたたちは)何を?
思い、感じたと言うのだろう?
置き去られた海や山が、空が、わたしに詰問する……
しないで!
ああ、思い出はあったんだ、ね。
時が去り、時がわたしに訪れる。……”時”って、何?
追いかけるともなく、追いかけられるともなく、”真実”がわたしに縋る。
それが、わたしの寄生的な存在? それとも、わたしへの寄生的な存在?
「時」だなどど、この期におよんでも不可解な存在が、わたしを悩ませる……
ああ、眠るよ。もう、眠いんだ、きっとね。
答えは明日か、あるいは、死んだ後にでもはっきりするのさ。
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