語の受容と解釈の性差について。──ディキンスンとホイットマン/田中宏輔
 
ッター連詩が、思考に与える効果について簡潔に説明すると、つぎのようなものになるであろうか。目で見た言葉から、わたしたちは、音を、映像を、観念を想起する。これが連鎖のさいしょのひと鎖だ。そのひと鎖は、そのときのわたしたちの魂が保存していた音や映像や観念を刺激して呼び起こす。それは、意識領域にあるものかもしれないし、無意識領域にあるものかもしれない。いや、いくつもの層があって、その二つだけではないのかもしれない、多数の層に保存されていた音や映像や観念を刺激し、つぎのひと鎖を連ねるように要請するのである。つぎのひと鎖の音を、映像を、観念を打ち出させようとするのである。このとき、脳は受動的な状態にあり、か
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