開かずの踏切り/本田憲嵩
 
ンできわめて積極的に動かしてゆくもの。そうやって僕自身が僕みずからの手で着実に掴みとってゆくもの――。


そうして決壊してもなおも下ろされたままの遮断桿と入り込んでしまった線路のなか、繰り広げられている彼女との会話から僕はいま抜け出せないでいる。交互に点滅するふたつの赤いランプが、交互に投げ出し合う赤いポールのように点滅しながら、開かずの踏切りの警報音はいまもなお鳴り響いている。
電車はもうとっくに通り過ぎてしまったというのに――。


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