鏡像 【改訂】/リリー
 
  第八章 「戦力外通告」


  私を乗せる診察ベットのキャスターは、真夜中の廊下をキュルキュル滑
 りながらレントゲン撮影室へ向かう。再び救急医療診察室へ戻って来ると、
 若い当直医はデスクのトレース台に胸部と下腹部のレントゲン写真を並べ
 て見ながら言った。
 「明日ね、呼吸器内科受診してください。婦人科の内診と、X線CT検査と
 MRIの予約取ります。僕、整形外科だから。あなた、腰も悪いですねぇ……。
 随分前から悪いでしょ。とにかく解熱剤出しましょう」
  私の目は四十度超える発熱で朦朧としながらも、診察室の壁掛け時計を
 確かめる。午前四時前になって、婦人科病棟の
[次のページ]
戻る   Point(5)