鏡像 【改訂】/リリー
み寄って来た木崎さん、
「あだちぃ、あそこのテーブルがな、ヤバい状態なんやで。」
フロアの別の一角へ、目を向けさせる。
集っているのは、何事もなく朗らかに見える一般棟の二階に住まう自立入
居者達で、七十代の男女。
「ヤバいんですか?」
「うん。分からへんやろ。××さんと、????さんと、????さんが、土田さん
めぐって絡れまくってるんやわ。もっとあるけど、それしか言えん」
「えええ……」
彼等へ貼り付く私の視線。
夕方になって、寮母室から更衣室へ引き上げようとする私にチーママが
声を掛ける。
「お疲れさん! あだっちゃん、悪いなあ、明日から谷
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