その優しさの名前は夜/黒ヱ
 
ようなら」 


どこで縺れたか この路地の暗闇
何も見えないと その先に
不安の感じて そしてやってくる 生ぬるい安堵
ゆだねるは この温度 連れていく 後ろから吹く薫風

「 」

その声は 聞こえないから それだから良いのだ
この言葉に どれほどの想いも 時間も 抱えているものは 誰も知らない
有耶無耶に煙る 捲るこの靄に溶かして
消えていくから だから美しい

頬を撫でている 何処の帰りを待つ風
届きはしない思いは便り 運びはない

委ねる夜 優しさが来る 私を包んでいて
         

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