ガラスの三日月/秋葉竹
ガラスの三日月
みせたこともない
真剣なひたむきさで
青みがかった夜空を
みあげている
昔憧れてたあのひとの
泣き顔をみたことがあって
もう僕でよければぎゅって
抱きしめてあげたかった
なにがあったのか
聴かせてほしいんだ
とか云って優しく髪を撫でて
みせたこともない
真剣なひたむきさで
青みがかった夜空を
みあげている
全てを諦めたあのひとの
笑顔をそれでも好きだと想った
寂しさが立ち止まっているだけの
いつもと違わないその日常風景のなか
なぜ笑っているのか
教えてほしかった
そんなの無理だと知っていながら
みせた
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