潮風の路/
atsuchan69
水と夜の境に小舟を浮かべ、
満天の煌めく星々を灯りに艪を漕ぐ
海の風が星からの歌声を運び、
甘く幽かなソプラノが船べりを撫でる
銀河のうねりが船を揺らした
艪の先の海を覗くと、
青く耀く無数の蛍柔魚が泳ぎ、
沈んだ船たちを水底に映している
いつしか星から星を渡り、
エウロパの海からまた別の星へと
歌姫の囀りとともに漕ぎすすむ
まだ人の想いが無垢だった頃、
遠く果てのない海は、
星と星を繋ぐ、潮風の路だった
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