紙のおじいちゃん/yo-yo
おまえに綺麗な紙のきものを着せたったら
紙人形のように可愛いやろなあ
そんなこと言うてはったおじいちゃん
いつのまにか
紙のおじいちゃんになってしもて
あれは風のつよい日やった
中学生やった私は下校の途中で
なんや空の方からおじいちゃんの声がしやって
凧のようなもんが街路樹に引っかかっとってん
ひらひら ひらひら
そんなとこでなにしてはんの
おじいちゃんはすっかり紙になってしもうてた
こんなに平べたになりはって
こんなにわやくちゃになりはって
私のラケットよりも軽いやないの
かなしいて かなしいて
私の涙でおじいちゃんが溶けてしまいそうやった
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