歌姫/atsuchan69
系移民たち、
鯛の姿造り、ビールと日本酒、
広い畳の部屋と山ほどのファンレター
そしてヤクザと豪華な暮らし、
脚の激痛、
大勢の観衆がドームを埋め尽くす
着飾った歌と束の間の夢、
客席の隅から隅まで、
満洲国の建国、
広島、長崎、
そして地球の裏側までも
昼と夜、
闇と空腹の昨日が過ぎて
この国を支える貧しい人たちと
戦いで散った夥しい亡霊が背後に見える
幾台ものテレビカメラが並び、
小さな歌姫を、液晶パネルに大きく映す
ステージに立っているのは、
まぎれもなく女神だ、、
いつしか歌は 涙とともに
渇いた人のこころを潤していた
その艶やかな歌声と姿かたちは、
私たちの憧れだった
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