いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
」
「悲劇的すぎる」
果林は、うっとりする表情をしていて。わたしはそれを見て、震えました。
「わたし、あなたのそれ、すごく嫌だな」
「これってどれ」
「今の顔。辛いのを楽しんでいるみたいだもの」
「えへへ。ほんとはね、わたしだってここを離れたいよ。……なぜか分かる?」
「じれったいな」
「まるで、出会ったころに戻るみたい」
果林もわたしも、思い返すような目をしていました。
「初めて会ったころに?」
「ええ。あのころのあなたって、とっても秘密っぽかった」
「今だってでしょう」
「今だってそうね」
「やっぱりね、茜さんは何も分かっていないんだ。わたしのこと」
「ええ、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)