逝くまで書いて/ただのみきや
*
ねじれた果実の熟すころ
死は昨日のように訪れた
時間の底に焦げついた
小さな獣の影
かどわす風にいま黒い水を渡る
古い橋の真中から
栞を落とす子ども
その萎えた手の甲から芽吹き
虚空を這いのぼるリズムがあった
唇に陽炎 羽虫寄せ におう笑い
河へと流れ決して混じらない
もう一つの水の系譜
つま先がふれた底なしの冷気
途切れなく閉じてゆく
波紋 波紋 波紋
非声 句点 消失
長い長い黒髪の流れ
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きみの未完成は美しい
だが人間蜂の羽音の模倣はうさんくさい
強制受粉の下心が迷彩を解く頃
代入の歪みできみの顔は
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