花が咲くまで/◇レキ
 
よろめいてスカートの小さなポケットから
風船の残骸と一緒に砂粒のような種はこぼれた

砂漠であることを知れず
落とされてしまった種は
一時の雨に芽生えてしまった
茎を伸ばして、眩しい
もがくように細い根を生やす

夜逐一凍えて
昼絶えず焼かれた
その苦しみを自覚すらできず

やがて何かの勘違いのようにあてもなく
それでも小粒の花をぽつぽつと咲かした

その日は沢山の朝露が降りた
世に露呈した痛々しいピンク色は朝露の味を知る

歩き続ける少女にも
今日は沢山の朝露が降りていたよ
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