雨に捨て猫/itukamitaniji
雨に捨て猫
cat
我輩は捨て猫である 段ボール箱を住処とし
人の流れを ここから見ている
名前はもう無い ミケだかタマだか
なんかそんな風に呼ばれてたけど もう無くなった
she
猫を捨てた帰り道 天気は覚えていない
いや確か 雨が降っていたような気がする
いずれにせよ ずぶ濡れで泣いていて
何がどうなったのか よく分からなくなっていた
cat
独りぼっちには慣れている 元々そういう性分だが
こんな自分にも 笑いかけてくれた人が居た
今となっては あの日々も悪くはなかったが
いずれ無くなる温もりなら 知らない方が良かった
she
コンビニでビール
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