日記、メモ/由比良 倖
っての懐かしすぎる記憶について語っているみたいで、全然的確に書けない。僕の普段の生活の中では見えないものが、彼女の歌にはあるのだけど、それはもちろん、単純にギターと歌が上手ということとは殆ど関係が無い。ギターは半端じゃなく上手くて、とんでもなく練習したのだと思うし、歌声の美しさもまた、才能と努力に拠るものだと思うけれど、でもそれだけじゃない。とても失われやすくて、一番大事なのに、僕はすぐに忘れてしまう何かが、彼女の歌にはある。それだけ覚えていれば、他には何も要らないのに。
2月21日(水)、
ヘッドホンがウォークマンに繋がっている。ヘッドホンを着けた僕は、音楽と繋がっている。ウォ
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