それでも/殿岡秀秋
ひとつの胴体に馬の首と牛の頭。小屋を出たところで、馬の首は走ろうとする。牛の頭は立ち止まろうとする。からだがよじれて小屋の前で回転するばかり。
首は二つだが、胴体はひとつで牛のからだだ。四本の脚は馬のもので、重さに震えている。ひずめは牛で、尻尾は馬のDNAを受け継いでいる。
左の牧場に牛の群れが現れる。馬は牛でもいいからそちらへ行こうとするが、牛のひずめは足踏みするばかり。
馬が首を前後にゆすっても、牛はゆっくり歩くだけだ。牛は目を見開いているが、映っているのは空の画板にのった白い絵の具。
右の牧場に白馬が現れる。雌馬だ。とたんに
馬は鬣をゆすり、尾をふりまわし、脚を蹴りだす。その勢いに引っ張られて牛がついていく。
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