のらねこ物語 其の十八「金魚の掛け軸」(三)/リリー
 
 「深川にはさ、ふしぎな話がたしかにあるのねえ…。」

 おりんより早く湯屋から店に戻った おゆう
 正座して部屋の隅の小さな衣装箱から
 昨日、着物の下へしまい込まれた掛け軸を
 掴み取り 巻緒をほどき始める

 好奇心旺盛なおゆう
 「えっ!ええッ?」
 本紙を眺めて声を上げる
 たしか昨晩、向かい合っていた二匹は
 並んで描かれているのだ

 そんなはずはない!
 さすがのおゆうも掛け軸を丸めた
 その時、ふと
 これを描いた御隠居の言葉を思い出す

  (清吉さん、おりんさん、この掛け軸はきっと
   あなた達の道を開く力になるでしょう。)

 お
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