のらねこ物語 其のニ「プライド」/リリー
河原の橋の下で
目を廻してぶっ倒れている
トラ
「どうしたんだ!お前。気分悪いのか?」
そばへ寄って来る
ホームレス仲間たち
「そういえば、ここ数日…奥さん見掛けんな。」
「話せば長くなる。」
とだけ
返答する決まり悪そうな口調
それより、もう腹が減ってどうにもならない。
ここニ、三日は行き先々でどうもついてなくて
残飯のおもらいが無いんだ。
「お前、ずいぶん遠慮深いなぁ。どうして言わないんだ。
こちとらの分、わけてやったものを。」
仲間の内で一番おもらいの伝手を持っている
かつて小間物屋の茂六さ
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