おいしい/soft_machine
モノクロームの映画が終われば
カーテンを揺らし
しみ込む雨
誰か好きなんじゃないかと
錯覚する痛み
もの哀しい風景の色には
限られた感情の両端があり
その中に無限を確かめることもでき
乾し花越しに
遠ざかる舟を眺めてた
吸い殻越しに
漕ぎ手の影と
不確かな水平線が
カウンター越しに
スクリュー眺めてた
空瓶越しに
発光する水底から
すき間に游ぶ鳥と泡と
どんなに願っても星にはなれない
何度目が覚めても
食が美味しい
まだ明るいけれど雨戸をたてる
ひとつ閉じれば
ひとつ開かれ
焼けた匂いに移りながら
煙も濡れながら昇る
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